SS-MIXについて
次世代医療基盤法は医療機関等から医療情報を認定事業者が収集し、患者さんに迷惑がかかることがないように誰の情報かわからなくした匿名加工医療情報を作成し、医学。医療の発展や適切な医療・介護体制を構築する目的で利活用する仕組みです。
匿名加工するとは言え、元々は医療情報ですが、医療情報にはどのようなものがあるでしょうか。
例えば糖尿病という病気について考えてみましょう。糖尿病の診断や管理のためには症状だけでなく、検査結果や治療の情報が必要です。
検査結果には体重のようなデータもありますし、血糖やヘモグロビンA1cのように採血して検査機器で測定するものもあります。
治療には飲み薬である経口糖尿病薬もありますし、人によってはインシュリンを毎日注射していることもあります。
このような病気の診断や管理に必要な情報を「医療情報」と呼んでいます。
医療情報には「3日前の朝から右の背中に刺すような痛みがあった。」というような患者さんの訴えの情報もありますし、「右の下腹部を圧迫すると強い痛みを訴えた。」と言った医師の診察の所見もあります。
患者さんの訴えや医師の診察の所見は患者さんや医師によって多少は異なります。しかし体温計で測った熱や採血して検査機器で測定した検査結果は測定する人によって変わることはありません。
一方で医療情報は経過を観察することが必要なことが多いと言えます。糖尿病は病気の経過が長く、20年以上にもなります。
このような病気が問題になることが多くなっているのが現代人の特徴です。
経過が長い病気の場合、ずっと同じ医療機関を受診し続けることができるとは限りませんし、また普段は近くの診療所で診察と簡単な検査と投薬だけで良いけど、年に1度は精密検査が必要で、大病院に行く必要がある場合もあるでしょう。
このような時には医療機関を越えて医療情報が比較できることが必要です。人である医師が目で見て比較するのであれば、測定の方法や書き方が少々違っても比較できるのですが、長期間の多数の情報の場合、自動的に傾向を判断したり、グラフに表示できなければ判断できません。
これらはコンピュータを使って行いますが、コンピュータは人ほど融通が利きません。データのほうで書き方や測定方法の違いを表現できなくてはいけません。
このようにデータを揃えることを標準化と言います。実は標準化というのはけっこう難しいことで、例えば膝頭の下をゴムのハンマーで叩くと脚が前に動く膝蓋腱反射という診察法があります。脳に障害があると反射が強く出るのですが、
新米の医師とベテランの医師では叩く強さが違うことが多いです。1人の医師が1人の患者さんの膝蓋腱反射を毎日見ている場合は、叩く強さが少々違っても良くなっているか悪くなっているかはわかるので、
大きな問題はありませんが、ことなる医師が診た場合、良くなっているか悪くなっているかの判断は難しくなります。これを標準化するためにはそもそもたたき方を同じにするような訓練から始める必要があります。
ただし標準化があまり難しくないデータもあります。採血して検査機器で測定する検査結果は比較的簡単に標準化できます。
血糖の値を標準化しおけば、早朝空腹時の血糖値は何年前のデータとも、違う医療機関のデータとも簡単に比較できます。
この比較的簡単に標準化できる医療情報の項目を決めて蓄え方まで定めたものがSS-MIXです。(SS-MIXも少しづつ進化して今はSS-MIX2と呼ばれています)。
簡単な項目だけ決めて良いのかという意見があるかも知れませんが、簡単であるということは、誰が見ても同じように解釈できる医療情報で、現実に診療で利用される医療情報の大半はそのようなデータです。
SS-MIX2は厚生労働省が決めた標準規格で、この仕組みは数多くの病院にすでに採用されていますし、地域で連携して医療を行う仕組み(地域医療連携ネットワークと呼ばれていて、全国で200以上あります)でも数多く使われています。
FAST-HDJではSS-MIX2を中心とした標準化された医療情報を収集して安全に加工し、医学・医療の発展や適切な医療・介護制度の構築のために提供することを目指しています。
次世代医療基盤法は医療機関等から医療情報を認定事業者が収集し、患者さんに迷惑がかかることがないように誰の情報かわからなくした匿名加工医療情報を作成し、医学。医療の発展や適切な医療・介護体制を構築する目的で利活用する仕組みです。